今日は,福井です。時間があったので久しぶりに県立図書館(福井市下馬町)で調べものをした。
ここは,平成14年に竣工し6年目の駐車場も広く居心地の良い図書館です。
車で行きにくく暗い石川県立図書館(金沢市本多町)も,富山県や福井県に見習い郊外に移転して利用者の環境を整えて欲しいものです(交通手段が整っている場所)。
入館すると真っ先に飛び込んでくるのが,五箇条の御誓文の起草書。
これは,元福井藩士で,当時明治維新政府参与(後に第4代東京府知事)の由利公正の書です。
広ク会議ヲ興シ 万機公論ニ決スヘシ
【由利案第五条】万機公論に決し 私に論ずるなかれ(天下の政治は世論に従って決める)
上下心ヲ一ニシテ盛ニ 経綸ヲ行フヘシ
【由利案第二条】士民心を一にし 盛に経綸を行ふを要す(経済を盛んにする)
今の政治家は,これを読んで欲しいものです。財務省の天下りは認められないと日銀人事が不同意の連打。かくいう政治家も,2世や3世は世襲という天下りじゃないの?どうなんです!
調べものとは,常設の「白川文字学の室」にあるのです。
この6日,D大の合唱部時代の友人が亡くなり京都での葬儀に参列した際,「御所で下手な歌を歌っていたオレたちに,文字がどうとか話してた老人を覚えているか」と広島から来た友人が語りだした。
しかも,「あのおっさん,白川静言うて偉い人やったんや」「福井図書館に資料があるらしいでぇ」と言うものだから,全く覚えていなかった私はそこへ行かざるを得なかったというわけです。
昭和47年,立命館教授であった「おっさん」こと「白川静」先生を囲んで,ゼミの学生らと御所で撮ったモノクロ写真がありました。私が学生時代だった47年は,学生運動が盛んでモノクロ時代だったんだ。
そして,デコの広い小太りの「おっさん」の写真を見て,確かに何度も見かけた顔だったことを思い出したのです。でも,何を話していたか全く記憶が無い。情けないよな。もったいないな。
先生は,日本の文字学の大家。
「我が国の文字政策というものが,戦後に非常に改まりまして,国語力が低下しておる,ヒョウゲン力が低下しておるというような批評が多くございますので,本来の文字の知識というものを普及することによって,そういう文字学の知識というものを回復したい。 国語のヒョウゲン力を回復したいというふうに考えております。
まあ,できるならば、私の故郷であります福井を,ひとつの発信の地として,我が国の国語力を向上させるという運動を展開したい。」
あの頃,もうちょっと先生の言葉の一つでも覚えるような努力をしていたら...と悔やんでも遅いんでしょうね。
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