昨日(28),石川県立音楽堂コンサートホールにてオーケストラアンサンブル金沢(OEK)第314回定期公演M(マイスター・シリーズ)を聴きに行きました。
《ピアノの魔術師ラルフ・ゴトーニのベートーベン・コンチェルト弾き振り》とポスターに書かれていたように,フィンランド出身のゴトーニさんの端正な指揮と華やかなピアノ演奏でした。
プログラムは,2月5日の第315回定期公演F(フィルハーモニー・シリーズ)と兼用で,楽しみにしているケルビーニ作曲「レクイエム」の合唱団員氏名が載っていて,9名の客演奏者が合唱に加わるようです。
「コリオラン」序曲では,次のピアノ協奏曲第3番のために天板を外して客席に背を向けて座るようにピアノを置いてあり,譜面はピアノの上に。
登場したゴトーニさんは,うっかりピアノの椅子に座ってしまうというハプニング。
そうして照れ笑いしながら曲が始まった。
ピアノ協奏曲第3番でのゴトーニさんの演奏は,《魔術師》かどうか素人の私にはサッパリ分かりませんでしたが,(弾き振りや吹き振りと違い)ピアノの場所のせいかオーケストラの中に溶け込んでいる感じがして,とてもすてきでした。
アンコールは,シューベルトの「美しい水車小屋の娘」を自身が編曲しての演奏でしたが,歌曲とずいぶん違ってしっとりと憂愁の色合いでした。
満員の聴衆も私同様大満足ではなかったでしょうか。
今日のコンサートホールは,伊藤恵司さん指揮する"なにわコラリアーズ"の「ただたけだけコンサートvol.3」。
男声合唱界では,「ただたけ」こと多田武彦は避けて通れない作曲家で,田中冬二作詞「北陸にて」,堀口大学作詞「雪国にて」,北原白秋作詞「白き花鳥図」の3曲を,甘美にかつ力強く披露してくれた。
♪ 秋の灯ともし頃の時雨の長浜の町は ♪
トップテナーのソロで掴みを外さず,一気に聴衆を魅入らせてしまいました。
時として荒れるトップパートも,この音色で許されてしまいますからね。
各パートも明るい声質でバランス良く,郷愁や叙情感たっぷりに男声合唱特有の倍音をホールに鳴り響かせていたのは流石でした。
それにしても入りが少なかったのが唯一の残念なこと。
後ろに座っていた旧知の金沢大学の先生は,昨日の金沢大学定期演奏会に「なにコラ」の面々が来てくれたから,今日は学生が大勢来るから大丈夫と言っていたが,成る程若人が後から来ていたけれど,定員の半分700名に届いたかどうか...。
もっと多くの人に聴いて欲しかったのにもったいない!
粉雪舞い散る底冷えの日を悪者にしておきましょう。
ただ,少ない聴衆で良かった事もあるんですよ。
それは,響くホールが尚のこと響くってことなの。
賛助出演では,山瀬泰吾さん指揮する女声合唱団"杏"が花を添え,硬質のソプラノは健在?でしたが,柔らかなソロも入りその意匠を凝らした演奏は,地元の実力派合唱団を更に大きくアピールしていた。
Mネルで何度も「北陸にて」を歌おうよ...と提案しながらその都度却下されていたけれど,却下した人たちはこの歌を知っていたのかねぇ?
滋賀・富山・新潟ばかりで石川県の地名が入っていないから?
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